山水の声を聴きましょう~大山祇神社

投稿者: | 2019年10月3日

不動産の物件で徒歩1分といえば、約80メートルだそうです。そうすると4キロとなれば、50分くらい。往復で2時間弱。ゆっくり歩けばなんとなかなる、そんな距離ですね。
なんでこんなことをお話しているかというと、会津の大山祇神社に来ているからです。ここは遥拝殿には車でさっと行けるのですが、本社へは徒歩しばり、4キロの「ハイキングコース」となっているとのお知らせ看板がありました。

時計をみると午後1時半。当日気温30度超えの灼熱地獄の最中ではありましたが、きっと山中は涼しいだろう、ここまできて本社を拝まないのはもったいないと、山道に歩を進めることにしました。
大山祇神社は、西会津町にある野沢駅から5キロかかったところにあります。「一生に一度、なじょな(どんな)願いもききなさる野沢の山の神様」という万能神。宝亀9年(778)に勧請されたそうで、総本社は愛媛県にあります。 
御祭神は水の神の大山祇命(おおやまづみのみこと)、その娘で、長寿の守護神の岩長比売命(いわながひめのみこと)、良縁・安産の守護神の木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)たち。親子に守られていて、アットホームな神社ですね。
さて、今回はこのなかでも大山祇命の水の神のお力にすがることになりました。浅はかといえばそうなのですが、水も用意せずに山道を歩きだしたのは無謀なことでした。歩き出して20分あたりまでは、音量を増してくる湧き水のせせらぎや緑の濃さに心躍らしていたのですが、やがて汗が吹き出すことこの上なく、不案内なこともあって、ゴールまでのちょっとした耐久レースになってきました。 

しばらくいくと不動の滝への分岐点が。やはり滝は見ないといけないかな、と選択すると、ここは実はアドベンチャーコース。道が荒れていて、なかなかハードな行程です。とはいえ、中途で念願の湧き水に会えることができたのは幸いでした。どんなに暑くとも天然の湧き水の冷たさは永遠です。この神の水で顔や首元を冷やし、ちょっと元気になって本社を目指しました。

道中、「やすらぎ」「うるおい」「出会い」「ぬくもり」「まどろみ」「よろこび」といった道祖神があり、これらが皆揃えば現世は最高なはずですが、いかんせん心に余裕がなくほぼ素通り。奥深くなると、さすがに緑の遮光のおかげで少々暑さが和らぐものの、代わりにアブが道連れとなってこれにも閉口しました。

悪戦苦闘の1時間。やっと本社到着です。わずかに期待していた自動販売機は当然そこにはないものの、清めの水でまずは心を整理してから参拝。休憩を兼ねて、四方に目をやります。それほど開けた展望ではありませんでしたが、山登りの好きな人は山の神に会いにいきたいのかしら、と独り言。

大山祇神社本社

下りは下りで足の裏のダメージがさらに増してたいへんでしたが、湧き水の流れる方向とともに足を動かしているんだ(湧き水とともに歩いているのだ)と勝手に己を鼓舞しつつ、また1時間かけて帰途へ着きました。
一切人とあわず、ただただ虫(アブ)たちと一緒の道中でしたが、ちゃんと体調を整えて、準備をしていけば、また雰囲気も変わっていたことでしょう。負け惜しみではないのですが、3時過ぎたあたりからは暑さもだいぶ和らいで、疲れさえなければ木々からもれる陽光や葉のざわめきを堪能できたはずです。車さえあれば、どこでも行けてしまうコンビニエンスな現代ですから、これはこれで貴重な経験です。

大山祇神社遥拝殿

さてさて、近くに食べ物屋さんはなかったので、御神酒を買いました。大山祇神社の初めての出会いに祝福としましょう。

出会いに感謝

※このブログは、会津若松市在住の知人からの寄稿です

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